まず言えることは、
主役は「花」ってこと。
その花を「束ねる」際、
自分が大事にしている8つの要素を
それぞれの章に分けて記載していきます。
Firstly,
The main character is the flower.
Let me tell you in each chapter about what are
my most important elements when
I bunch the flowers.
第一章
「調律」
組み合わせは無限。
というよりは自由。という表現が近いのかもしれない。
100%受け身の「彼ら」は、
どんなふうに組み合わされても「共存」をしていくからだ。
だから、僕ら人間が意識的にする事だけが
「調律」とは限らない。
必然もあれば偶然もあり、それらを踏まえ調律していくのが
本質的な「調律」。
キレイな花を散りばめるだけではなく、
それぞれの花の咲き方、花びらの質感、葉の形状。
茎の長さ、しなやかさ。
色彩、時間の経過と共に変わるカラーグラデーション。
そんな資質を緻密に考慮し80%は描くが、
20%くらいは作りながら
天性独自(花本来)の奇跡・偶発性の美に委ねる。
なので、そのお花が枯れていく様も作品途中と
言えるかもしれない。
短期間なものではなく、その花たちが数日経ち
「アドリブで共演」し始めることも
「調律」に含まれていると言えるだろう。
それが僕の思う「調律」。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
1
【Tuning】
Combinations are boundless.
But I would rather use the word liberty.
The flowers are 100% passive and will
coexist whatever combination you create.
So tuning isn’t only the thing that we intended to do,
there is sometimes certainty
and the unexpected, and I'll be tuning with this in mind.
It's not only arranging beautiful flowers, the way of blooming,
the texture of flower petals and the shape of leaves.
Length and flexibility of stem,
color tone, color gradation of changes with
time are also important to consider.
I take these factors into account and plan 80%,
but the rest I leave to the flower’s miraculous and
unexpected beauty.
The flower wilting is also part of my performance.
Over time, the flowers start to improvise together unexpectedly,
that is part of my tuning.
Those are my thoughts on tuning.
Nouvellebeauté
第二章
「純粋」
高価なお花をたくさん用いたら
良い作品が生まれるかといえば、
そうではありません。
良い食材をたくさん使っても、その食材の天性を
引き出さなければ「本当の料理」とは
言えないように。
お花も同じです。
身近な花材でも予想外の「花」を
再形成することができます。
その為にはアイデアと創造性の突破口を切り開き
「純粋」な気持ちで花と向き合う。
が、大事なコトだと僕は思っています。
言い換えると、
「限り」を自分で勝手に作らない。
と、いうことでしょうか。
一つの事に長く取り組んでいると思考がパターン化したり、
過去から引き出すことをしがちかもしれませんが、
そのようなコトを手放し、
純粋に彼らに「目覚めて」もらう。
というニュートラルな思考や
ピュアなハート、そして基礎的な技術が、
作品にとってもお花にとっても大きく影響してくると
僕は思っています。
花を花らしく花以上に。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
2
【Pure】
It’s not guaranteed to work because you use expensive flowers.
In cooking, you can't make a genuine dish without making
the best use of the ingredient's true nature,
even if you have expensive and extremely good ingredients.
The flowers are the same.
Even with common, everyday flowers,
it’s possible to create something unexpected.
I need to be face-to-face with the flowers, with just a pure and
honest mind to get inspiration and break through creatively.
I think those are the most important things.
Often you get stuck in the same rut or rehash work from the past
when you have been practicing something for a while,
but you should let this go and become awake.
I think a neutral mind,
pure heart and basic technique will provide a positive effect
on the work as well as flowers.
Make flowers like more flowers and more than the flowers.
Nouvellebeauté
第三章
「色彩」
お花の色彩に関しては、絵画やファッションと
少し異なるかもしれません。
お花は生きていますから、
時間と共に色彩が変わっていきます。
蕾の頃はほとんどグリーンだったのに、
咲いていくにつれてとても強い色を放つことがあるのも、
お花の持つ特色です。
また、色と言うのは「メッセージ」性も含まれています。
シチュエーションによってお花の色を選ぶのも
作るうえで意識しないといけない一つの要素だと思います。
お花の場合はどんなにたくさんの色を組み合わせても、
それらのお花の資質や形状を考慮し組み合わせれば
とてもキレイな作品が出来るということです。
もちろん、サイズ感や分量など、
「バランス」を考慮するのは言うまでもない事ですが、
それが実現可能なのは「自然界」の色だからだと思います。
1つのお花の中に何色もの
色が入っていたりするお花の一部分を
ある色と組み合わせることにより生まれる
グラデーション。などは、
僕が感覚的に行っている特色の1つでもあります。
もちろん、同系色のグラデーションもキレイですし、
そこに、アクセントとして
まったく別の色を組み合わせてもキレイです。
抑えた色調と明るい色調がバランスよくミックスすることで
生まれる光と影、なども。
お花の「色彩」というのは、詰まるところ「流行り」なんて
ないんじゃないか、というコトと、
人工的な色ではなく自然界の色を最大限生かすことが
僕らの役目の一つでもある気がします。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
3
【Color】
The color tone for flowers isn't quite the same as
with fashion and painting.
Because the flowers are alive and the color
might change over a period of time.
It was almost green when it was a bud,
but then became quite a bold color when it bloomed
- that is one of the flower's distinctive features.
Also, the colors carry messages.
I need to keep in mind to pick flowers depending on the situation,
I think that is one of the foundational elements.
You'll be able to make fine work if you calculate and
combine flowers’ form and nature,
even if you mix lots of colors.
Of course, you need to balance sizes and amounts,
but only natural colors could possibly do.
Instinctively I often pick out a color from an element of
one of the flowers and from it create a color gradation.
This is one of the characteristics of my art.
Of course, the gradations of similar color are always good,
but I also add completely different colors as an accent.
I often present the light and shade made from
well balanced moderate tones against bright colors.
I would say that the color of the flowers doesn't follow a trend and
my mission
is to make the most of the natural colors rather than the artificial.
Nouvellebeauté
第四章
「時間」
お花は生物なので「時間」とともに変化していきます。
蕾だったのが咲いたり、鮮やかな色だったのが
少しくすんできたり、など、お花によっては
さまざまに変化していきます。
僕のデザインは「時間」を考慮して
デザインすることが多々あります。
言い換えると、数日後の彼らの変化をイメージし、
花の組み合わせや配置、高低差などを
前もって設計するということです。
もちろん、設計通りいかないこともありますが、
それは、どちらかと言えば、
設計以上のカタチを見せてくれることの方が
多いかもしれません。
「彼ら」は時間と共に、最大限の美しさを表現しようと
精一杯生きてくれていますから、それが故、
設計以上の姿を僕らの前に見せてくれるのかもしれません。
瞬間的なものではなく、彼ら本来の「美」に触れるのは、
そのような時間を含めてこそ感じれるものだと
僕は思っています。
同じ1日がないように、
お花にとっても日々「時間」と共に変化しています。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
4
【Time】
The flowers are alive and will change with time passing.
The flowers have many different stages,
the bud will bloom and vibrant color will fade.
I often design with periods of time in mind.
In other words, I usually consider how the flowers will change a few days
in the future and plan the combinations, layout and elevation difference.
It doesn’t always go as planned,
but often the flowers show us something more than expected.
At each stage of their limited lives,
flowers are optimally beautiful according to
the intentions of nature, this beauty is what is unexpected.
I appreciate their whole, genuine beauty because of
this change over time - it’s not just a single moment.
No day is the same for us and it’s the same for flowers,
changing as time passes.
Nouvellebeauté
第五章
「香り」
お花は自然独特の「香り」を秘めています。
そして、その香りは癒やしの効果をもあると思います。
僕が花を束ねる際、それが花であれグリーンであれ、
何かしら「香り」のあるものを選定します。
それは視覚のみならず、嗅覚でもそのお花を
楽しんでもらいたいからです。
また、香りを嗅ぐ事により、
その時の記憶や感情が蘇る事もあります。
その様な時を越える経験が出来るのも
香りの持つ植物の特質の一つだと思います。
クオリティの高い造花が出回るようになりましたが、
どれだけ姿形を真似したとしても、
やはり生のお花の香り。
これを再現することは
容易ではないと思います。
季節ごとに変わる花に囲まれて、
自然や花の香りを嗅ぐことで
「幸せの呼吸」が出来るのだと思います。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
5
【Fragrance】
The flowers have a distinct natural fragrance. It has a healing effect as well.
I would rather go with either the flowers or greens
that have a scent when I bunch up to a bouquet.
I like to ensure the fragrance of my creation appeals as
much as how it looks visually.
Also, the scent sometimes reminds you of the memories and
feelings of the moment.
Being reminded of these memories is one of the specific features of
plants that have an evocative scent.
There are plenty of extremely good quality artificial flowers
in the market
but they can’t replicate a real flower's scent
(even if it looks authentic).
They hardly ever manage to have that.
If you can be surrounded by seasonal flowers,
the scent of nature and flowers you can achieve
“breathing happiness”.
Nouvellebeauté
第六章
「笑顔」
チャームという言葉から連想されるのは
幾つかあると思いますが、
「直線的」というよりは「曲線的」。
「角」があるというよりは「丸み」がある。
というように、僕が何かを作る際、
意識的にも無意識的にも
特に大事にしていることの一つがこのチャームです。
お花や作品は「大人」だけのものではなく、
「みんな」のものだから、
「みんな(人間)」の本質的な部分を追求していくと、
どうしてもそのチャームが欠かせないと
僕は思っているからだと
思います。
そしてそのチャームがデザインに含まれることによって、
そのお花を受け取った人に
「笑顔」が生まれると僕は思っています。
また、このチャームというのが、
僕らプロフェッショナルなデザイナーが
技術を駆使する大事な要素の一つだとも思っています。
なぜならお花は、それ自体十分に美しく可愛いからです。
1種類のお花を束ねるだけでも十分に美しいのが
お花の素晴らしさです。
ただ、その1種類のお花だけではなく、
さまざまなお花を技術を駆使し「組み合わせる」ことで
1種類とはまた違う次元の美しさが表現できます。
おしゃれなデザインを作るというのは簡単なことで、
そこにちょっと崩れたところを作り
「色気」を出すことにより
チャームが生まれるのかもしれません。
それは自分の持つ創造性が自由であればあるほど、
そして、玄人の様な発想ではなく
素人のような発想を持って
固定概念をなくすほど、
チャームが生まれやすいのかもしれません。
第二章でも先述しましたが、
ニュートラルな思考やピュアなハート。
で、日々お花と共に過ごすことで
チャームな作品を生みだせるのだと思います。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
6
【Charm】
There are a few images associated with the word “charm”
and I think they are more curvilinear than linearly.
There are no corners, only roundness.
That is the thing I most care about is the charm,
whether consciously or unconsciously.
The flowers and my creation are not just for adults, but for all.
I think it’s essential to have charm when you search for
a substantial part for all of us. Can’t do without.
It gives a smile for sure when a person receives flowers
that were designed with “charm”.
Also, charm is an important element for professional designers like myself
who make full use of the technique.
The flowers are simply beautiful enough just themselves.
The bouquet that has only a type of flowers but still really beautiful,
that is the excellence of the flowers.
Different types of flowers require the use of some techniques combined and
present a completely different aspect of beauty.
Making an absolutely fashionable design is easy,
but making slightly less perfect gives glamour and possibly delivers charm.
I think if your creative approach is
free and not bound by ‘professional’ considerations it will be easier to create charm.
Everyday I spend time with flowers,
creating charming work from a neutral mind and pure heart
(as I stated in chapter 2).
Nouvellebeauté
第七章
「生命」
花を生かす=生ける。
花は道具じゃない。
愛する対象であり生かすべきもの。
花にも意思があることを信じている。
ただ、声はない。
その声に「心」で反応すること。
僕が長年お花に携わり、年々大切に感じていることです。
土から切られた花は、残りの「生命」を全力で生きます。
少し寂しい言い方になりますが、
時間と共に変化し、そして「死」に、向かっていきます。
花を扱う自分たちはそれを「意識」し、
花と接する使命があるのだと思います。
「花」そのもの
「自然」そのものには流行りはありません。
どれも「人間」がやっていることです。
だからか、
僕はそんな道具のような「感覚」で花と携わっていたら
なんの深みもないモノが出来てしまうと
個人的には思います。
もちろん何が正解かは僕にはわからない。
ただ、少なからず
愛を持って接している人は同時に
「丁寧」に花と接している人だと思います。
花、一本一本に僕らと同じ「命」があります。
その命を愛で、携わるのが僕らの「根幹」に
とても必要なことだと思います。
そしてそのように接していたら
同じ生き物だし、
花に愛されるようになるもしれません。
いや、たとえ愛されなくても
「花が味方」になってくれるのかもしれません。
そしてその「花が味方」
してくれた作品というのは
個人の力では努力しても得ることのできない、
奥行きのある感慨深い作品が
生まれるんじゃないかと、僕は思うわけです。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
7
【Life】
Arranging flowers does not mean 'finishing them off,
it's more like giving them another life.
Flowers are not tools.
They are something to love and should be kept alive.
I believe that flowers have intentions.
But cannot be heard physically.
I must interpret their voice with my mind.
I have worked with flowers for a long time and
this is the thing I really care about year after year.
The period immediately after being picked from the ground is
when the flower is at its peak.
Sadly, changing over time it will fade towards death.
My job is handling flowers, I have a mission to bear in mind that.
The flowers and nature themselves don't have any trends.
Those are human ideas.
If you cannot appreciate this and treat flowers only as a prop or tool,
the outcome will have little depth or tasteless.
I don’t actually know what the answer is.
But I think the person who handles flowers with love,
more or less will also be handling them respectfully as well.
Each flower has life as well as like us.
I admire the life of flowers and handling them with
care is a very important and basic thing.
The flowers may admire you in return if you handle them well -
the flowers are a living thing.
The flowers may be on your side at least even
if they are not admired you back.
When you make an arrangement with flowers that are on your side,
the creation will have depth and be deeply moving - something
that can’t be achieved with effort alone.
Nouvellebeauté
第八章
「感謝」
花に感謝をするということ。
自分の手元にきてくれた花に感謝を。
それが原点です。
花にも魂がある。
動物にもそう。
人間と同じ魂。
花は大地から切り取られた「スター」。
スターの向き合い方を
大切に、そして感謝するコトで、
花があなたを「スター」にする。
花はみなつながってる。
これは生花に携わり、
花の道の先輩でもある母から贈られた
言葉です。
花に巡り会い、
花を知り、
花とともに創造(いけ)る。
それがTSUTAYA DESIGNの流儀であり、
蔦谷ヨシミツの信念でもある。
色彩・水々しさ・躍動感、
そんな花と植物の機能美を調律し、
偶然と必然を繋いで
「新たなる自然美」へと
導き続ける。
Nouvellebeauté 新たなる自然美
Chapter
8
【Thanks】
Thanks to flowers.
Appreciate the flowers that come to my hands.
That is my starting point.
The flowers have a soul.
So do animals.
The same soul humans have.
The flowers plucked from the earth are “the star”.
The flowers make you the star if you care about the way to
handle them, they appreciate it.
All flowers are connected.
These are the words from my mum who I admire and
has a lot of experience working with flowers.
Meet flowers,
Know the flowers,
Create with flowers.
that is of TSUTAYA DESIGN Style,
It is also the belief of
Yoshimitsu Tsutaya.
Color, freshness, and dynamism,
Tuning the functional beauty of
such flowers and plants,
Connect chance and inevitability
To “neo - natural beauty”
Continue to guide.
Nouvellebeauté